セミナー・ワークショップ/介護セミナー
市民公開講座「みんなで考えよう!おしっこの問題part10」を開催しました。
日時: 2017年10月22日(日)
14:00〜16:00
場所: メルパルク京都
市民公開講座も今回ではや10回目の開催となりました。
今回はあいにく当日台風が接近するという事態になってしまいましたが、足下が悪いにもかかわらず、多くの熱心な方々が、お越しいただきました。心より感謝申し上げます。
内容
1.基調講演「おしっこの問題に向き合うために」
泌尿器科上田クリニック 院長 上田朋宏 先生
高齢者の尿失禁の特徴は、膀胱や尿道の機能異常を伴う尿失禁と膀胱以外の異常による尿失禁が混在しているケースが多いことです。つまり、急な尿意でトイレに間に合わない尿失禁や、咳やくしゃみで尿が漏れる腹圧性尿失禁に加えて、環境因子やトイレに関する習慣が良くない等で症状をさらに悪化し、複雑化する場合が多いのです。
膀胱の役割やはたらき、下部尿路症状(ICS)や間質性膀胱炎の症状についてお話いただきました。また、尿失禁の頻度についての疫学調査から尿失禁の危険因子についてもご説明いただきました。
2.パネルディスカッション『みんなで考えよう!よりよい排泄管理について』
〜治療、看護、介護の面からのアドバイス〜
医師、看護師、おむつフィッター講師の先生方に、おしっこが出ない原因について症状や病名、尿漏れの原因、尿漏れの対策などを、それぞれの専門分野から治療法、ケアの仕方などについてアドバイスをいただきました。
〜医療面から〜 泌尿器科 上田クリニック 院長 上田 朋宏
「排尿自立に向けてのアプローチの仕方」
排尿は自律神経でコントロールできます。尿を出すのが副交感神経、ためるのは交感神経が関係します。図を使い、尿の収縮について説明いただきました。また、医療介護環境を整備することによって、カテーテルやおむつをはずすことが可能となることを症例を用いて、ご説明いただきました。
〜介護の面から〜 排泄用具の情報館 むつき庵 代表 浜田きよ子
「認知症を抱えた方への排泄ケア」
徘徊、収集癖、妄想など人の知ることには理由があるので、病気を知ることが大切です。患者さんと一緒に世界を共有することの必要性をお話いただきました。
また、認知症には、アルツハイマー型、脳血管性の認知症、レビー小体型認知症などがあり、人によって異なること、それぞれの症状やケアについてわかりやすく説明いただきました。
「認知の症状が進めばできないことが増えますが、できることを見つけてまわりが支える」など心に響く言葉もたくさんありました。
〜看護の面から〜 NPO快適な排尿をめざす全国ネットの会 理事 看護師 山口昌子
NPO快適な排尿をめざす全国ネットの会 理事 看護師 田中悦子
「夜間頻尿の対策」
夜間頻尿とは、夜間の排尿のために1回以上起き、そのことにより困っている状態をいいます。夜間頻尿の症状やその原因について説明いただきました。夜間頻尿の原因は、夜間の水分の取り過ぎ、糖尿病、睡眠障害などさまざまなことが考えられます。夜間頻尿の対応の1つに生活習慣の見直しがありますが、それには排尿日誌をつけることが効果的だと考えられています。
また、歩いてトイレに行くためには日ごろから筋肉を鍛えておくことが大切なので、 後半は「骨盤底筋体操」を皆さんと一緒に体を動かし学びました。
3.NPO快適な排尿をめざす全国ネットの会の活動報告と展望について
NPO快適な排尿をめざす全国ネットの会 理事 奥野一輝
悩んでいても相談しにくい「おしっこの問題」に関する情報を発信し、正しく対応できる環境整備を目指して活動しています。現在は、京都府介護福祉協会や京都府医師会の研修に講師を派遣するなど、各種団体との協働の機会も増えています。高齢社会にとって「おしっこの問題」はみんなの問題です。正しい情報を提供することでその改善に取り組み続けています。
来年開催される間質性膀胱炎国際会議をはじめ、NPOの現在の取り組みについてご紹介させていただきました。
今回、株式会社ドリーム様、USCIジャパン株式会社様、株式会社リヴドゥコーポレーション様にご出展いただきました。悪天候の中、ありがとうございました。
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