セミナー・ワークショップ/介護セミナー
第11回「快適な排尿をめざすセミナー」を開催しました。
日時: 2007年11月17日(土)
13:30〜16:30
場所: メルパルク京都(ぱ・る・るプラザ京都)
- 排泄ケア〜チームでのかかわり〜
- 排泄は一日に何度も行う行為です。また、食事のように規則正しく時間を決めたり、生活の都合をつけて時間の変更が出来るものではありません。したがって、排泄のケアにあたる場合は、様々な方々のかかわり、つまりチームワークが大切です。今後の排泄ケアについてディスカッションもおこないました。
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- 1.「ケアマネージャーの立場から」
- 日本コンチネンス協会大阪支部 支部長 利根川 圭一
- 2.「ナース・コンチネンスアドバイザーの立場から」
- 有限会社エルム 代表 今丸 満美
- まとめ
- 京都市立病院泌尿器科 医師 上田朋宏
内容
1.「ケアマネージャーの立場から」
- 日常の業務について
大阪でケアマネージャーと福祉用具専門相談員として働いています。日ごろの業務を振り返ってみると、排泄関連の内容が多いです。「トイレに行きたいので手すりを設置したい」、「排泄と入浴」といった相談です。
- 排泄用品について
- ベッド、杖、手すり、レバー式のドアノブなど、立つため・歩くための道具は、機能性尿失禁も多いこともあり、すべて排泄用品としてとらえていきたいです。
- 福祉用具や住環境整備
- リハビリスタッフがついてくれると助かります。適合やフイッティング、リハビリの可能性も含めてディスカッションできることが理想です。
- 退院・退所からの援助
- 退院・退所時は、入院中からできるだけ余裕をもってかかわったほうがいいです。住宅改修は最小限度から、社会資源の使いきりを避けるため、退院・退所の前からチームとしての係わりが大切になってきます。
- 社会資源
主に下記のものがあります。
・介護保険
在宅サービス、住宅改修、福祉用具購入
・高齢福祉(市長村ごとに異なります)
住宅改修、オムツ給付、緊急通報、バス・タクシーチケット等
・障害福祉
支援費ヘルパー、補装具、日常生活用具等
その他、自立支援、年金制度、各種減額・減免・控除制度、生活福祉等、とにかくいっぱいあります。
- ケアマネージャーの領域について
- 介護保険が主ですが、人の生活に区切りはないため、色々な職種の人と共に取り組むことが必要になります。すなわち、医師・歯科医師、看護師・保健師、MSW(メディカルソーシャルワーカー)、薬剤師、作業療法士、理学療法士、鍼灸師・マッサージ師、検査技師等です。受付の人も、特に開業医の場合は大切になってきます。
- クライアントを取り巻く人々
- ガイドヘルパー、行政、生活福祉のソーシャルワーカー、在宅介護支援センター、社会福祉士、福祉住環境コーディネーター、ご近所さんにいたるまで本当に沢山の方々がいらっしゃいます。
- お医者さんとの連携について
- 〜電話の方法、用件の伝え方などについてお話いただきました。〜
主治医に関する問題点
- 排泄の悩みを一番身近な主治医に相談していない方が多い、複数の医療機関に係り誰が主治医かはっきりしない、先生は話したつもりでも家族本人に伝わっていない、等です。
- MSW(メディカルソーシャルワーカー)
- 退院から在宅に向けての取り組みにはかかせない存在です。勤務医との連携時、調整をしてくれる頼もしい存在です。
- CSW(コミュニティーソーシャルワーカー)
- 在宅介護支援センターの担当者です。認知症・虐待・経済問題など多岐にわたる問題で共に取り組んでくれるパートナーでもあります。申請のお手伝い等、行政機関への橋渡しもしてくれます。
- 最後に
- ケアマネージャーとしてクライアントの本気の相談には本音で答えてあげたいので、信頼してぶちまけてくれ欲しいです。でないと力になれません。また、取り巻く人々については、それぞれの立場を説明してくれ、実情に即し対応してくれる人が仕事がしやすいです。
2.「ナース・コンチネンスアドバイザーの立場から」
- チームでかかわる必要性とチームを作る目的
排泄は生理現象として起こるので、時間が決められません。また、気持ちよく排泄ができることを目指しています。
- 〜気持ちよい排尿とは?正常な1回の尿量、1日の回数や尿量についてお話いただきました。
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- 排尿困難
- 前立腺肥大症、神経因性膀胱、糖尿病等により排尿困難になります。特に最近では、糖尿病による排尿困難が増えてきています。治療対応として、簡潔導尿、カテーテル留置、膀胱瘻が挙げられます。
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- 頻尿の原因
- 頻尿の原因として、下記のことなどが考えられます。
- ・膀胱及びその周囲の炎症に伴う刺激にもとづく頻尿(膀胱炎・前立腺炎)
- ・排尿障害に伴い残尿があるための頻尿(前立腺肥大症・神経因性膀胱など)
- ・膀胱容量の減少による頻尿
- ・排尿反射抑制路の障害(神経因性膀胱)
- ・尿路の増加(多尿)による頻尿
- ・心因性頻尿(例:引越しや職場が変わって人間関係がうまくいかないなど)
- →薬物により治る場合もありますが、心因性頻尿のように、薬だけでなく、違うもので対応しなければいけないものもあります。
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- 尿失禁について
溢流性尿失禁、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、機能性尿失禁といった具合にさまざまなタイプがあり、解決法が異なります。切迫性尿失禁は、薬物治療、膀胱訓練、骨盤底筋体操などにより治していきます。膀胱訓練についてですが、ある程度鍛えることにより、尿を貯めることができるようになります。
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- 解決の為の選択肢として
- 治療(薬物・手術・訓練等)
- 環境改善(もの・ひと・制度・社会資源)
- が挙げられます。
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- チームメンバーに必須の存在とは?
- アセスメントできる専門職としては、ケアマネージャー、ナース、PT、OT、ケアスタッフなどです。ケアマネージャーは全体的なコーディネートをします。介護保険者がいない場合、アセスメントをわかっている人が対応するなど、状況に応じて変えていきます。
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- チームアプローチの必要性
- かかわるそれぞれのメンバーが同じ目標を持ち、与えられた役割を担うことです。また、互いにディスカッションできることが、技術共有→レベルアップ→よいケアにつながります。チームアプローチにより、自分も周囲も同時に向上できることを目指しましょう。
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- 当日は、会員による製品説明も行いました。
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