セミナー・ワークショップ/介護セミナー
第7回「快適な排尿をめざすセミナー」を開催しました。
日時: 2007年2月3日(土) 13:30〜16:30
場所: ぱ・る・るプラザ京都
- 1.「自己導尿について」
- 星ヶ丘厚生年金病院 泌尿器科 医師 百瀬均
- 2.「自己導尿の実践」
- 星ヶ丘厚生年金病院 泌尿器科 WOC看護認定看護師 菅井亜由美
- まとめ
- 京都市立病院泌尿器科 医師 上田朋宏
内容
自信を持って自己導尿を行うための知識や技術、すなわち尿道留置カテーテルより感染が少ない、自己導尿の習得や指導法についてお話いただきました。
- 清潔感欠導尿(CIC)の定義
- 一定の膀胱容量(一般に400ml〜500ml)を超えないように、一定時間ごとにカテーテルを用いて尿を排出する
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- 一定の膀胱容量での導尿
- 膀胱過伸展の予防
- 1.膀胱が充満することにより、膀胱壁が伸展し虚血を招く。虚血により細菌抵抗力が落ち、感染することを予防する
- 2.平滑筋、血管、神経の慢性的な伸展障害を予防する
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- 一定時間ごとの導尿
- 1.残尿をなくす:尿中の細菌数を減らす
- 2.受動的な収縮、弛緩の繰り返しにより膀胱のリハビリテーションになる
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- 清潔間欠導尿(CIC)の目的
- ・腎機能の荒廃を予防する
- ・均整の取れた膀胱・尿道機能を回復し、維持する
- ・尿路感染を予防する
- ・カテーテルフリーにする
- ・QOLを向上させる
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- CIC指導時のアセスメント
- 身体面
- 1.排尿障害を起こした原因
- 2.排尿障害の程度
(尿意、失禁、尿閉、尿回数、尿量、残尿、排尿時間など)
- 3.カテーテル操作上の機能(上肢機能、視力や視野、下肢開脚制限、認知障害など)
- 4.カテーテル挿入に伴う症状(痛み、尿道狭窄など)
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- 心理面
- ・排尿管理に対する本人の意思、希望
今までのやり方でよい、と考えている本人に無理やり行うことは難しい
- ・CICに対する思い、恐怖、不安、羞恥心
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- 社会面
- ・トイレの構造
- ・日常生活のパターン(導尿回数、仕事、学校)
- ・職場や学校の環境(その場でトイレに行けるのかなど)
- ・家族や社会資源などのサポートの有無(どのくらいサポートを受けられるか?継続してきく)
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- CIC方法の決定の視点
- 1.誰がおこなうのか(本人、家族、看護師)
- 2.いつ行なうのか(1日の回数、時間)
- 3.どこで行なうのか(家庭、職場、学校、外出先)
- 4.どのような場所で行なうのか(トイレ、居室、ベッド、車椅子など)
- 5.どのような体位で行なうのか(座位、立位、ファーラー位、臥位)
- 6.何を用いて行なうのか(カテーテルの種類や組み合わせ、潤滑油、鏡)
例えば、車椅子の人は綿が必要になるなど、使用する本人に応じたものを用いる
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- CICの必要物品
- 導尿用カテーテル、清浄綿または消毒綿、潤滑剤
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- カテーテルの種類(再利用型カテーテル)
- ・セルフカテーテル
- ・DIBマイセルカテーテル
- ・セフティカテーテル
- ・間欠式バルンカテーテル
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- カテーテルの種類(ディスポーザブルカテーテル)
- 清潔、めんどくさくないなどの理由で人気がある
- ・サフィードネラトンカテーテル
特徴:塩化ビニル樹脂
- ・ポケットカテーテル(1個200円程度で、価格は高いが、ポリウレタンよりよくできている)
特徴:親水性コーティングパッケージを押すと水がでて潤滑剤になるポリウレタン素材
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- 清浄綿または消毒綿
- 外尿道口の清潔のため
- ・清浄綿を使用する(アルコールを含まない)
- ・塩化ベンザルコニウム(0.02〜0.025%)
- ・塩化ベンゼトニウム( 0.02〜0.025%)
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- 再利用型カテーテルのケースの消毒
- 清潔、めんどくさくないなどの理由で人気がある
- ・塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムを使用
- ・石鹸と流水で丁寧に洗浄し完全に乾燥
→・消毒液の交換は1日1回が望ましい
・長期間使用すると緑膿菌などが繁殖
・ポビドンヨードは生体消毒薬で器具の消毒には不適切
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- 潤滑剤
- ・キシロカインゼリー(ショックに注意)
- ・グリセリン
- ・KYゼリー(ジョンソンエンドジョンソン)
- などの水溶性ゼリーを使用する。
オリーブオイルは比重が低いため、使用しないほうがいい
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- 継続できるCIC指導時のポイント
- ・CICの必要性の理解
- ・羞恥心、不快感への対応
- ・簡単な操作の選択
- ・導尿時間、導尿方法など幅を持たせる
- ・CIC導入による結果を理解してもらう
- ・継続サポート体制の説明をする
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- CI(S)Cの実際
- 1.手を洗うまたはウエットティッシュで拭く
- 2.導尿しやすい姿勢をとる
- 3.尿道口を清拭する
- 4.カテーテルに潤滑油を塗布する
- 5.カテーテルを尿道口に入れる
- 6.尿が出たらさらに2cm程度膀胱内に入れる
- 7.尿が出終わったら、カテーテルをゆっくり引き出し完全に尿を出す
- 8.カテーテルの処理をする
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- 導尿の姿勢
- ※男性の場合
- ・立位でも座位でも可能
- ・環境に合わせて導尿しやすい体制をとる
- ※女性の場合
- ・洋式便器に座る 和式便器にしゃがむ
- ・立位で行なう
- ※車椅子に座ったまま実施
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- 尿道にカテーテルを挿入する
- ※男性の場合
- ・ペニスを身体に直角または頭側に保持する(尿道口をまっすぐにする)
- ・尿道口をしっかり露出する
- ・前立腺部にあたり入りにくい場合はペニスを下向きにする
- ※女性の場合
- ・陰唇を広げる
- ・鉛筆を持つようにカテーテルをもつ
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- 尿道口が分かりにくい場合
- ・慣れるまで鏡を使用する
- ・尿道口を指で触る
- ・膣に指を当てて誤挿入しないようにする
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